現在、木村泰文税理士事務所では、提携している各士業の先生方を少しでも知って頂くため、先生方からお役に立つ情報を提供して頂き、発信しています。
今回は第八回目として、弁護士の先生から頂いた情報で、「成年後見制度」についてです。
【民法改正と成年後見制度】
民法の成年後見に関する部分が,本年(平成28年)3月24日に改正され,今年の10月から実施されることになっています。
改正の内容について説明します。
1 成年被後見人にあてた郵便物の転送
成年後見人は,被成年後見人(本人)の財産管理をしますが,本人あての郵便物を受け取っていいかというと,郵便物には個人的な手紙もあり,憲法上も「通信の秘密」がありますから,成年後見人が本人あての郵便物を受け取ったり,開封することはできないと考えられています。
成年後見人は,本人の財産管理に必要な書類(本人の健康保険や年金に関する書類など)は,これまでは,予想できる範囲で直接に役所などに連絡して,成年後見人自らに送ってもらうようにしていました。こうすれば,ある程度は書類を手に入れることはできますが,本人の財産管理に必要な書類を完全には把握できません。
そこで,民法が改正され,成年後見人が事務を行うときに必要がある場合には,家庭裁判所が6か月以内の期間を定めて,本人あての郵便物を,成年後見人の元に送るよう郵便局に依頼することができるようになりました。
2 本人に宛てた郵便物を開封する権限
また,以上のことに関連して,成年後見人が本人あての郵便物を開封することができるようになりました。
開封可能な郵便物は,郵便局から転送されたものに限られていませんので,本人が受け取った過去の郵便物等も開封できると考えられます。
3 本人死亡後に成年後見人ができる事務
本人が亡くなれば相続が開始し,本人死亡後は相続人が財産を管理することになります。
成年後見人の権限も本人の死亡と同時に消滅し,成年後見人は,相続人に財産を引き継ぐことになります。
ただし,相続人に財産を引き継ぐまでに急迫な事情が生じた場合は,成年後見人はそれに対処すべきことになっています。
今回の改正民法は,本人の死後に成年後見人が対応できる事項を定めたものです。
具体的には,成年後見人は,本人が死亡した場合,必要があれば,本人の相続人が相続財産を管理することができるまでの間,以下の行為ができると定められました。
① 特定の相続財産の保護に必要な行為
② 相続財産に属する債務の弁済
③ 本人の死体の火葬または埋葬に関する契約その他相続財産の保存に必要な行為
このうち,③については,家庭裁判所の許可が必要とされています。
民法改正により,本人死亡後の成年後見人の権限が一応定められましたが,葬儀などはこれまで事実上,成年後見人が行う場合もありましたが,民法改正後はできなくなるのかなど新たな疑問が出ています。
※次回の掲載日は、10月31日前後を予定しております。
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