現在、木村泰文税理士事務所では、提携している各士業の先生方を少しでも知って頂くため、先生方からお役に立つ情報を提供して頂き、発信しています。
今回は第12回目として、弁護士の先生から頂いた情報で、「成年後見制度」についてです。
【成年後見制度における財産管理の基本的考え方】
成年後見制度は,本人の財産を管理することを職務の1つにしています。
財産管理は,基本的に本人の生活のために財産を管理することを目的にしています。
家の維持や推定相続人のために財産を維持することを目的にするものではありません。
これは成年後見制度の理念が「自己決定の尊重」,「現有能力の活用」,「ノーマライゼーション」にあり,本人の意思を尊重し,本人を中心に考え,その意思を実現することにあることから,本人を中心に考えることが基本となっているからです。
成年後見人等の財産管理が推定相続人のために行われるならば,財産をできるだけ使わないようにして次の世代のために財産を残すようなことが行われる可能性があります。
成年後見制度はこのような財産管理を目指すものではありません。本人の家族から,本人の財産を残すことを目的に成年後見等開始の申立てがされたとしても,家庭裁判所から選任された成年後見人等は,本人の財産を残すことだけを目的とした財産管理を行うことはできません。
本人の財産は,本人がこれまで働いて作ってきたもの,親が遺してくれたもの,国から支給された年金など様々なものなどがあると思いますが,これらはいずれも本人が安心してより豊かに暮らすために使われる必要があります。財産管理は本人の生活環境の向上のため,あるいは本人が旅行や趣味のためにお金を使いたいということであれば,本人の財産に余裕がある限りは本人の意思が実現できるよう努力するのが成年後見人等の役割になります。
本人のお金の使い道が他の人からみて不合理であるように思えても,(本人の真意の把握を行う必要はありますが)真意がそうであれば本人の意思に沿うよう実現を目指すことになります。
財産管理を本人の生活のために行うには,本人がどのような心身状況,生活状況,経済的状況にあるか,本人の家族その他の人間関係がどのようになっているか,趣味,嗜好はどうか,どのような希望を持っているかなど本人に関することをよく知っておく必要があり,成年後見人等は,そのためには本人や家族,本人の周囲にいる福祉関係者などから本人についての情報を直接あるいはケア会議を通してよく聞き,本人がどのような考え,希望を持っているかを日ごろから理解しておくことが必要になります。
成年後見制度の下における成年後見人等は財産管理を行うとされていますが,本人の意思を中心にした財産管理を行うには上記のように本人のことをよく知って管理を行うことが必要になります。
※次回の掲載日は、3月31日前後を予定しております。
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