現在、木村泰文税理士事務所では、提携している各士業の先生方を少しでも知って頂くため、先生方からお役に立つ情報を提供して頂き、発信しています。
今回は第15回目として、弁護士の先生から頂いた情報で、「成年後見制度」についてです。
【成年後見人等の義務】
成年後見人等は,本人の代理人として本人の財産管理をしたり身上監護(身上支援)等の事務処理を行います。
この事務処理を行うについては,以下のような義務に従って行うべきとされています。
成年後見人等は法定代理人とされています。
これは権限が民法に定められているという意味で「法定」代理人とされていますが,その立場は本人から委任を受けた代理人と同様に考えられますので,成年後見人等には民法の委任についての規定が一部準用されています。
準用される規定の中には,事務を善良な管理者の注意をもって処理しなければならないということがあります。
これは「善管注意義務」と呼ばれ,成年後見人等は善管注意義務に従って事務処理を行う必要があります。
善管注意義務というのは,一般的に後見人という立場の人が果たすべきと考えられる注意を払って事務処理しなさいということで,収支や事務処理の内容を記録することなど後見人という職務に応じた処理を行う必要があります。
自分の財産を扱うような態度で被後見人等の財産を扱うのでは足りません。
後見人自身の個別的な経験,技能,身体状況などの主観的な事情に基づくのではなく,後見人等に一般的に要求される水準の事務処理を行わなければならないと考えられています。
また,成年後見人等については,さらに,本人の生活,療養看護及び財産管理の事務処理を行うに当たっては,本人の意思を尊重し,かつ,その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならないとも定められています。
「本人の意思尊重義務」,「身上配慮義務」と呼ばれるものです。
善管注意義務と本人の意思尊重義務,身上配慮義務との関係については,本人の意思尊重義務,身上配慮義務は善管注意義務の内容を具体的に説明したものと説明されています。
本人の意思尊重義務は,本人の意思を中心にした支援を行うことと考えられ,支援は本人の希望や意向,信条など本人の価値観に基づいて行われる必要があります。
本人の意思に関わりなく,周囲の支援者の価値観に基づいて本人にとって最善と考えられる支援をすることは本人の意思を尊重した支援とは相反することと考えられます。
支援者の価値観だけに基づいて本人にとって最善と考える支援をすることから本人の意思を中心とした支援へと意識を改革していくことが必要になると考えられます。
身上配慮義務は,身上に配慮するということから,現実の介護(食事介助,トイレ介助,入浴介助など)をすることではなく,介護サービスなどの手配をすることと理解されています。
身上配慮はこのような手配することだけではなく,さらに,本人の生活の質を向上させてその人らしく暮らせるようすることへの配慮も含んでいると考え,そのためには本人の状態,状況を把握する必要があるから,本人の見守りをすることも含まれるという考えも主張されています。
※次回の掲載日は、6月30日前後を予定しております。
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