現在、木村泰文税理士事務所では、提携している各士業の先生方を少しでも知って頂くため、先生方からお役に立つ情報を提供して頂き、発信しています。
今回は第21回目として、弁護士の先生から頂いた情報で、「成年後見制度」についてです。
【成年後見と預貯金口座等への届出】
成年後見等が開始すると,成年後見人や預貯金等の管理権限を与えられた保佐人や補助人は,銀行や証券会社等の金融機関に,成年後見等の届出をすることになります。
金融機関に成年後見等の届出をするには,金融機関が用意している届出用紙に必要事項を記入して届出を行い,届出印の登録をします。
成年後見等の届出がされた後は,金融機関は成年後見人等の届出印の確認をして取引に応じることになりますから,本人の判断能力が不十分なことを利用して他人が預貯金等や証券を引き出すのを防ぐことができます。
また,金融機関としても,成年後見等の届出を受けることでリスク対応ができます。
預金者や取引当事者等に成年後見等が開始しても知ることはできず,取引をした後になって取消権が行使されるリスクがありますから,リスク対応として取引約款上,成年後見等の届出を預金者等に求めています。
成年後見等の届出がされた預貯金等の取引名義については,これまでどおり本人名義のまま使用してもいいし,「被後見人◯◯成年後見人△△」のように後見人等の代理人の名前まで入れて使用するのもどちらでもいいという金融機関もありますが,取引名義を後見人等の代理人の名前まで入れたものに全て変えさせる金融機関があります。
預貯金の名義に後見人等の名前まで入れると,たとえば,本人に賃料収入がある場合などに,借主に家賃等の振込先の名義変更を伝えると,貸主に成年後見等が開始したことが分かってしまうという問題があります。
また,キャッシュカードについては,回収しない金融機関と,回収する金融機関があります。
キャッシュカードを引き続き利用できると,本人の能力に応じ,たとえば,後見人等が預貯金通帳に定期的に一定額を入金し,本人がキャッシュカードで引き出して生活費に使うというようなことが可能になります。
成年後見等の届出をすると名義がどうなるのか,キャッシュカードの使用は可能なのかなどを届出の際に確認し,必要な場合は,対応可能な別の金融機関に成年後見等の届出をして新口座を開設することも考えられます。
成年後見等の届出がされた預貯金等の取引を後見人等が被後見人等を代理して行う場合の署名は,「被後見人◯◯成年後見人△△」とします(保佐人,補助人の場合はそれぞれに応じて,「被保佐人◯◯保佐人△△」,「被補助人◯◯補助人△△」の記載になります)。取引手続を実際に行ったのは,本人の後見人等が本人を代理して行ったという意味でこのように書きます。署名の横に押す印鑑も後見人等の届出印鑑になります。
本人の署名や印鑑は必要ありません。
このようにして預貯金等の取引が行われると,後見人等の行為の結果は被後見人等に及ぶことになりますから,被後見人等自身の預貯金が増減します。
※次回の掲載日は、1月31日前後を予定しております。
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