現在、木村泰文税理士事務所では、提携している各士業の先生方を少しでも知って頂くため、先生方からお役に立つ情報を提供して頂き、発信しています。
今回は第11回目として、弁護士の先生から頂いた情報で、「成年後見制度」についてです。
【成年後見制度利用と時間,費用】
成年後見制度は,利用するには時間と費用がかかると思われているように思います。
まずは,裁判所の資料をもとに,どのような時間,費用がかかるのかをみてみましょう。
裁判所に成年後見の申立てがされてから審判がされるなど結論が出るまでにかかる時間は,1か月以内が44.8%,1か月から2か月以内が約31.4%となっており,申立件数の76.2%は申立後2か月以内に結論が出ています(平成27年1月から12月までの数。以下同じ)。市町村長申立がされる場合は,市町村での調査にかかる時間がこれに加わります。
市町村長申立の場合は,本人の両親,子,兄弟姉妹などに成年後見申立についての意見を聞くとされていますので,これらの手続や市町村内部での手続のための時間が,裁判所での手続のほかにかかることになります。
鑑定については,鑑定が実施されたものは全体の9.6%で,鑑定期間は1か月以内のものが54.6%,1か月から2か月のものが36.1%で,90.7%が2か月以内に鑑定が行われています。
鑑定費用は,5万円以下が60.9%,5万円から10万円までが36.6%となっています。
成年後見の申立費用は,申立手数料(印紙)は,後見,保佐,補助が基本費用800円で,これに代理権(保佐,補助),同意権(補助)を付けるとすると,それぞれ800円ずつが加算されます(補助の代理権と同意権を付けると800円✕2=1,600円の印紙が追加になります。これは補助の開始そのもの,代理権付与,同意権付与それぞれが審判の対象となるのでそれぞれに審判手数料がかかるという考えのようです)。
このほかに成年後見の登記手数料が2,600円,郵便費用が3~4,000円が必要になります。
鑑定費用がこれに加わりますが,鑑定そのものは上記のように全体の9.6%なので,鑑定費用まで支払うことになる数はそれほど多くありません。
成年後見人等に第三者が選任されると,その報酬も発生します。
報酬は裁判所が決めます。
本人の財産の範囲内で決定しますので,本人の財産がほとんどないような場合は第三者後見人の報酬が0ということもあります。
成年後見制度を利用するにはこのような時間と費用がかかります。
本人の財産が他人に取り込まれており,成年後見の審判を待っていては財産が失われるおそれがあり時間がなく至急に対応しなければならないという場合は,審判前の保全処分として,財産を管理する人を先に選ぶということもあります。
成年後見制度を利用するには費用がかかりますが,判断能力が不十分で自力では自分の財産や生活を維持できない本人の財産を管理して,本人が安心した生活を送るためには必要な費用と考えることもできるのではないでしょうか。
※次回の掲載日は、2月28日前後を予定しております。
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