税理士事務所は木村泰文税理士事務所・有限会社 キムラ経営

弊社は、ビジネスパートナーとして、皆様に役立つ情報、システム等を多角的に提案する、総合コンサルティング企業です。木村泰文税理士事務所(大阪府大阪市)を中心とした『トータルコンサルティング ネットワーク』の中核企業として、ワンストップサービスを提供しています。

提携士業情報(成年後見制度38)
2019.12.02 更新

現在、木村泰文税理士事務所では、提携している各士業の先生方を少しでも知って頂くため、先生方からお役に立つ情報を提供して頂き、発信しています。

今回は第39回目として、弁護士の先生から頂いた情報で、「成年後見制度」についてです。

 

 

 

遺留分

 

1 被相続人は,自分の財産を自由に処分できるのが原則で,遺言をすれば,法定相続人の相続分を全て排除できます。その財産を相続できるかも知れないというのは,相続人の期待にすぎません。しかし,相続は相続人の生活保障の面もあり,民法は一定の範囲の相続人に一定の割合の財産を残す遺留分という制度を設け,相続人の利益に配慮しています。遺言で全財産を1人だけに相続させるとか他人に全て贈与すると書いてあっても,遺留分として認められる一定の割合の財産は相続人に残す必要があります。遺留分の請求をすることを遺留分侵害額請求といいます。

 

2 残される財産の割合は,直系尊属(親や祖父母など)だけが相続人の場合は,財産の3分の1,それ以外の場合は2分の1とされています。兄弟姉妹には遺留分がありません。

また,遺留分のある相続人が相続放棄したり,被相続人などを殺害するなどして相続欠格に該当するとされたり,被相続人を虐待するなどして相続人廃除されていたりすると,その人は遺留分侵害額請求ができません(相続放棄の場合は,代襲相続人も遺留分を請求できませんが,相続欠格,相続人廃除の場合は,代襲相続人は遺留分侵害額を請求することができます)。

遺留分は以下のとおりです。

配偶者のみが相続人の場合は2分の1

子1人のみが相続人の場合は2分の1。子2人のみが相続人の場合は各4分の1

父又は母のみが相続人の場合は3分の1。両親のみが相続人の場合は各6分の1

配偶者と子1人が相続人の場合は,配偶者は4分の1,子は4分の1

配偶者と子2人が相続人の場合は,配偶者は4分の1,子は各8分の1

配偶者と父又は母が相続人の場合は,配偶者は3分の1,父又は母は6分の1

配偶者と両親が相続人の場合は,配偶者は3分の1,両親は各12分の1

兄弟姉妹の遺留分はないので,0です。

 

3 遺留分を計算するための基礎となる財産は,被相続人が死亡時に有していた財産と,これに以下の贈与財産等の額を加え,これから借金額を引いて計算します。

  • 被相続人が死亡する前1年以内にされた贈与(相続人以外の者への贈与も含みます)

② 被相続人死亡の1年以上前の贈与であっても,当事者双方が遺留分を侵害することを知ってされた贈与

  • 相続人が受けた特別受益(結婚に際してもらったお金,贈与を受けた居住用不動産などです。相続開始前10年間にされたものに限られます)

④ 当事者双方が遺留分を侵害することを知ってされた,不相当な対価による売買等の有償行為

 

4 遺留分侵害額請求がされた場合は,基礎となる財産を上記の方法で計算し,遺留分額を求めます。贈与によってはすでに実行が終わっているものもあることから,遺留分侵害額の計算は,当事者の法的安定性に与える影響の小さいものから順番に負担するよう配慮されており,遺贈,死因贈与,生前贈与の順番に算入していくとされ,受遺者が複数あるいは受贈者が複数いて贈与が同時にされている場合は目的の価額に応じて算入され,受贈者が複数いて贈与が同時にされたのでない場合は後の贈与から順番に前の贈与が算入されることになっています。

   なお,遺留分侵害額請求の対象となるのは,これまでは遺産そのものとされ,不動産が対象となる場合は不動産の一部返還を求めることになり,受贈者と遺留分権者の共有となるとされていました。このような考えは複雑な権利関係を生じさせるだけなので,令和元年7月1日から施行された改正相続法では,不動産も金銭に評価して遺留分侵害額請求としてまとめて金銭請求を行うことができるようになりました。

5 遺言により遺留分が侵害されても,遺留分を主張するかどうかは相続人が各自自由に決めることができます。ただし,遺留分侵害額請求をすることができる期間は,相続の開始及び自分の遺留分が侵害されていることを知ってから1年間となっています。相続の開始から10年が経っても遺留分の請求ができなくなります。

   遺留分侵害額請求には期限があるので,後見人等が被後見人等のために遺留分侵害額請求をする場合は,内容証明郵便で請求を行い,いつ請求したかが後で分かるようにしておく必要があります。

   遺留分侵害額請求をしてから,相手と話し合いに入ります。話し合いをして合意できない場合は,調停あるいは訴訟をすることになります。遺留分侵害額請求の通知を期限内にしていれば,調停,訴訟は期限後であっても有効に進めることができます。

 

6 相続放棄は,被相続人の生前にすることはできません。これに対し,遺留分は被相続人の生前に放棄することができます。

被相続人が自分の全財産を誰かに遺贈したいと考えた場合,遺言書を書いただけでは,被相続人が亡くなって相続が開始した場合,相続人から遺留分侵害額請求がされる可能性があります。被相続人はこのような紛争が生じないようにするため,遺留分を有している相続人全員に対し,予め遺留分の放棄をしてもらうと,被相続人が亡くなった後に遺留分侵害額請求ができなくなり,被相続人の思い通りに全ての財産を希望する人に遺贈することができます。

遺留分の放棄は,被相続人が圧力を及ぼして放棄させるおそれもありますので,家庭裁判所の許可を得なければなりません。

 

 

 

 

 

※次回の掲載日は、12月31日前後を予定しております。

法律関係でお困りでしたら、提携している弁護士をご紹介いたします。

お困りの際には、まず木村泰文税理士事務所へご連絡くださいませ。

 

〒540-0003
大阪市中央区森ノ宮中央2丁目12番16号キムラ経営ビル
TEL:06-6910-8788 FAX:06-6910-8577
大阪府大阪市の木村泰文税理士事務所、有限会社キムラ経営
〒540-0003
大阪市中央区森ノ宮中央2丁目12番16号 キムラ経営ビル
TEL:06-6910-8788 FAX:06-6910-8577


Copyright (C) 2011 木村泰文税理士事務所・有限会社 キムラ経営 All Rights Reserved.