現在、木村泰文税理士事務所では、提携している各士業の先生方を少しでも知って頂くため、先生方からお役に立つ情報を提供して頂き、発信しています。
今回は第43回目として、弁護士の先生から頂いた情報で、「成年後見制度」についてです。
管理財産の引き渡し
成年後見が終了する場合には,すでに述べたとおり,いくつかの場合があります。終了する事情に応じて,後見人等が管理していた財産を引き渡す相手は変わります。
1 本人の判断能力が十分にあると認められ,後見開始審判が取り消された場合
⇒本人に引き渡されます。
2 本人の判断能力に変更があるとして,後見類型の変更があった場合
⇒新しい類型の後見人等に引き渡されます(元の後見人等がそのまま変更後の後見人等になった場合は,財産は同じ後見人等が管理することになります)。ただし,新しい類型が保佐あるいは補助の場合,保佐人あるいは補助人に財産管理権が付与されない場合は,財産は本人が管理することになりますので,財産の引き渡しは本人に対して行われます。
3 後見人等が死亡,辞任,解任,破産した場合
⇒後見人等が管理していた財産は,後任の後見人等に引き渡されます。
4 本人が死亡した場合
本人が死亡して後見等が終了する場合,様々な場合が考えられます。
ア 相続人がいる場合
⇒相続人に引き渡されます(誰が相続人かは,戸籍調査を行い,相続人の確定をします)。
相続人が複数いる場合は,相続人間で代表者を決めてもらい,その代表者に引き渡します。
イ 相続人がいるかどうか不明,不存在の場合
⇒財産が残っていれば,後見人等であった人は,「利害関係人」として,家庭裁判所に「相続財産管理人」の選任申立を行い,相続財産管理人を選んでもらって,その人に財産を引き渡します。相続財産管理人選任申立には,100万円程度の予納金が必要とされていますので,残った財産がその程度存在しないと,相続財産管理人を選んでもらえないこともあり得ます。
ウ 相続人がいるらしいけれど,その所在が不明の場合
⇒後見人等であった人は,「利害関係人」として,家庭裁判所に「不在者財産管理人」の選任申立を行い,不在者財産管理人を選んでもらって,その人に財産を引き渡します。不在者財産管理人の選任申立の予納金は予想される職務内容によっても違いますが,30万円~50万円程度必要とされています。
エ 遺言書が存在している場合
・遺言で遺言執行者が指定されている場合は,遺言書に書いてある財産を遺言執行者に引き渡します。
・遺言で遺言執行者が指定されていない場合,指定された人が遺言執行者を引き受けない場合は,家庭裁判所に遺言執行者選任申立をして,遺言執行者を選んでもらい,その人に遺言書に書いてある財産を引き渡します。
・遺言書で「包括遺贈」がされている場合は,包括受遺者に引き渡します。
※次回の掲載日は、7月31日前後を予定しております。
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