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提携士業情報(成年後見制度45)
2020.09.01 更新

現在、木村泰文税理士事務所では、提携している各士業の先生方を少しでも知って頂くため、先生方からお役に立つ情報を提供して頂き、発信しています。

今回は第45回目として、弁護士の先生から頂いた情報で、「成年後見制度」についてです。

 

 

 

親なき後の問題

 

 

1 知的障がいなどの障がいがある人は,親が元気な間は,社会生活を送ることに困難があっても,親がその不十分なところを補い,社会で暮らすことができています。若いうちは学校に行き,卒業後は就職して働いたり,福祉施設で福祉サービスを受けたりして日中の生活をしますし,日々の暮らしも,親と一緒に暮らしたり,グループホームで親から独立して暮らしたり,施設に入所して暮らす人もいます。社会生活を送るために必要な能力が不足していても,それを補ってくれる人がいれば暮らしていくことができます。障がいのある人の支援を,多くの場合,親が果たしています。

障がいのある人が高齢化すると,当然のことながら親も本人以上に高齢化し,親自身が判断能力を失って子の支援ができなくなったり,中には亡くなる人も出ます。親が判断能力を失ったり,亡くなったりして子の支援ができなくなったとき,子が財産管理や自分の身の回りのことについての手配ができなければ,社会で円滑に暮らしていくことが難しくなります。親が子の支援ができなくなった後に,子は誰からどのような支援を得て暮らしていくことができるか,これが「親なき後の問題」といわれるものです。

 

 

2 このような問題への対応として,いくつかの方法が考えられます。

  • 複数後見の仕組みの利用

親が子の成年後見人になるだけでなく,親が子の支援をできなくなった後のことを考え,親ともう1人別の人を後見人として家庭裁判所から複数後見人の選任をしてもらっておき,親が子の支援をできなくなった後は,もう1人が後見人として本人を支援する方法が考えられます。

 

  • 親なき後における他の成年後見人の選任

親が子の成年後見人になっていれば,複数後見になっていなくても,親が子の支援をできなくなった場合に,子に成年後見人が必要である状況は変わりませんから,家庭裁判所は職権で後任の後見人を選任することができます。これにより,子どもには後見人が付き,子の支援を行うことができます。

 

  • 親なき後に成年後見人を新たに選任

子に成年後見人が選任されていない状態で,親が子の支援ができなくなった場合,親族あるいは市町村長が成年後見を申し立てることにより,子に成年後見人を選任してもらうことができます。

成年後見人をつけるには家庭裁判所に申立をすることが必要で,申立がなければ本人にはいつまでも後見人がつきません。本人に申立権はありますが,本人が誰かに自分の財産の管理などをしてもらいたいと意思表明できる程度の能力が必要で,そのようなことができない場合は,本人申立はできません。4親等内の親族にも申立権がありますが,そのような親族がいなかったり親族が申立を断った場合などは親族申立につながりません。最後の方法としては,市町村長に申立をしてもらうことになります。

 

  • 任意後見制度の利用

子が自分は誰かに財産を管理してもらいたい,それを誰かに頼みたいと考える能力があるなら,子はその他人と契約を結んで財産の管理などをしてもらうことができます。しかし,財産の管理などをしてくれる人を子が監督できなければ,権限乱用により使い込まれる可能性は否定できません。頼む相手がよほど信用できる人でなければ,財産の管理などを契約で委任することはお勧めできません。

なお,契約で財産管理などを依頼する場合に,財産管理をしてもらう人を監督する仕組みとして,任意後見という制度があります。財産の管理などをする人を,家庭裁判所が選任した任意後見監督人が監督するというものです。

任意後見制度も親なき後の問題に対応するものとして一応考えることはできます。しかし,この制度も任意後見人として自分の財産の管理などをしてもらう人がよほど信用できる人でないと任せるのは危険であり,よく考えることが必要です。

 

  • 信託の利用

信託というのは,財産を持っている人(委託者)が財産を第三者(受託者)に名義を移転し,受託者が移転を受けた財産を運用するなどして,委託者が指定した人(受益者)に運用利益や財産を渡す方法です。

親(委託者)が第三者(受託者)に財産を移転し,自分が生きている間は自分に,自分の死後は自分の指定した者(子や配偶者など)に財産の運用益や財産から毎月一定額を渡すように指示しておけば,親の死後に子は生活資金を安定して手にすることができます。信託は,信託銀行,信託会社など免許を受けた者でないと営むことができませんが,営業として行うのでなければ,個人でもすることができますので,受託者に人を得ることができれば,信託の仕組みを使って,親は自分の死後に定期的に一定額を子に渡すことができるようになります。

 

 

 3 以上の方法などにより,親なき後の問題に対応することが考えられます。

   親が元気なうちは,子のために様々な支援をしてあげることができますが,親が高齢化して判断能力が低下して自らの財産すら管理が難しくなったり,親自身が亡くなると,たちまち子の財産管理や身上面の対応ができなくなってしまいます。

   子に兄弟姉妹がいれば,親は兄弟姉妹に障がいのある子の支援を託す場合もありますが,兄弟姉妹に負担となる場合,兄弟姉妹がいない場合もあり,簡単に解決できない問題といえます。

   上記のような対応方法が考えられるわけですが,親が元気なうちは親自らがするから大丈夫と思い,自分の判断能力が低下したり亡くなったりした後のことを考えていなければ,急に親が脳梗塞などで倒れたり亡くなると,子になかなか成年後見人がつかなかったり,子の判断能力が不十分なことにつけ込まれて大きな財産的被害を受けるということがあり得ます。

   親としては,元気なうちから子の支援ができなくなったときのことを考え,そうなった後の子の暮らしの仕組みをしっかり計画しておく必要があるといえます。

 

 

 

 

 

 

※次回の掲載日は、9月30日前後を予定しております。

法律関係でお困りでしたら、提携している弁護士をご紹介いたします。

お困りの際には、まず木村泰文税理士事務所へご連絡くださいませ。

 

 

〒540-0003
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TEL:06-6910-8788 FAX:06-6910-8577
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