現在、木村泰文税理士事務所では、提携している各士業の先生方を少しでも知って頂くため、先生方からお役に立つ情報を提供して頂き、発信しています。
今回は第52回目として、弁護士の先生から頂いた情報で、「成年後見制度」についてです。
Q&A成年後見
【質問】
本人は70歳の独居男性です。最近⾝体機能の低下が顕著で意思疎通も困難となってきています。本人には兄と姉がおり,姉は最近死亡し兄が生存しています。他に親族はいません。兄には認知症の疑いがあります。⾦銭管理は市の日常生活自立支援事業を利用し,福祉サービスは地域包括支援センターが協力して利用できるようになっていますが,本人が判断能力を失った場合,これらのサービスをいつまで利用できるか不安があります。
また,本人の亡姉の相続⼿続きをする必要もありますが,本人にはその理解が難しくなっています。どうすればいいでしょうか。
【回答】
1 少子高齢化など社会の家族構成の変化に伴って身寄りなく独居する高齢者が増えています。家族がいれば,家族が高齢の本人の生活を支えることもできますが,そのような家族がいない場合に,本人の財産管理や福祉サービスの利用を支える社会的な制度として成年後見制度があります。
成年後見制度を利用するには家庭裁判所への申立てが必要です。申立てできる人は,本人,配偶者,4親等内の親族などです。
親族がおらず本人も申立てできる能力がない場合,本人は成年後見制度を利用することができず,生活を支える人がいないことになります。そうならないよう,本人の福祉を図るために特に必要があると認められるときは,市町村長が後見等開始の申立てをすることができるとされています(老人福祉法第32条)。
本件では,本人のために市町村長が後見の申立てをして,家庭裁判所に成年後見人等の選任をしてもらいます。本人に親族がいれば親族が後見人等に選任される場合もありますが,親族がいない場合は弁護士や社会福祉士,司法書士が選任されます。最近では府や市が養成した市民後見人が選任される場合もあります。
2 成年後見人等が選任されると,後見人等が本人の財産管理,福祉サービスの利用などを本人の意向を確認しながら支援を行うことになります。本人の姉の相続についても,後見人等が本人を代理して相続手続を行います。
後見人等は,本人のための活動をすることができますが,離婚や遺言など本人自身が決める必要があることまで後見人等が決めることはできません。医療についても,後見人等は医療費の支払いはできますが,どのような治療を受けるかを決めるのは本人でなければできないとされています。
3 本人の兄も認知症で成年後見制度利用の必要がある場合,本人の後見人等は本人のための財産管理,福祉サービスの利用等を行うことができますが,本人の兄のための後見申立てをすることまではできませんので,兄について成年後見申立てをするには市町村長が申立てをする必要があります。
※次回の掲載日は、5月31日前後を予定しております。
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