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提携士業情報(成年後見制度54)
2021.06.30 更新

現在、木村泰文税理士事務所では、提携している各士業の先生方を少しでも知って頂くため、先生方からお役に立つ情報を提供して頂き、発信しています。

今回は第54回目として、弁護士の先生から頂いた情報で、「成年後見制度」についてです。

 

 

 

 

Q&A成年後見

 

 

【質問】 

50歳男性で兄弟姉妹はいません。現在は80歳の父と2人暮らしをしています。母は数年前に亡くなっています。30歳のころに会社で上司からハラスメントを受けてストレスがかかって幻聴が聞こえるなどの症状が出るようになり精神科クリニックに通っていました。その後間もなく退職し現在まで職に就かず通院しながら自宅で暮らしています。精神保健福祉手帳2級の認定を受けています。

父は,自分が亡くなった後に本人がどうやって暮らしていけるか心配しています。どうすればいいでしょうか。

 

 

【回答】

  父が元気なうちは父の援助によって本人の生活を維持できますが,父が亡くなったり父自身が認知症などで自分の生活すら維持できなくなった場合,本人が預貯金の出し入れ,日々の買物などの日常生活ができなければ本人の生活は行き詰まってしまいます。

本人ができないと生活上困ることとして,たとえば家庭生活においては炊事,洗濯,掃除があり,身の回りのことでは食事,排せつ,入浴があり,社会生活面では預貯金の出し入れ,買物等での支払,売買や介護サービスなどの契約があります。

この事例では本人の判断能力がどのような状態にあるのか分かりません。父に支障が出た場合に,これまで父に依存していた本人が自覚するようになり,自分で自分のことがある程度までできるようになるかも知れません。そのような事例も多くあります。

しかし,本人が精神上の障がいにより,これらのことの全てあるいは一部ができない場合は本人の状態に応じて支援する必要が出てきます。

この場合の対応方法として,以下のようなことが考えられます。

 

1 成年後見制度の利用(法定後見)

父が元気なうちから本人に成年後見制度(法定後見)の利用を開始し,後見人等(後見人,保佐人,補助人)をつけておくことが考えられます。後見人等に父がなることも可能です。一旦父が後見人等に選任されていると,父が職務を果たせなくなれば家庭裁判所が職権で交替の後見人等を選任してくれます。父が倒れてから後見申立等をすることに比べると時間的に早く本人支援に入ることができます。家庭裁判所が後見人等を監督することで本人財産の適切な管理も期待できます。

また,本人支援の時間差を生じさせない方法として,後見人等に父と第三者の複数を選任してもらって共同で本人の支援を行い,父が倒れた後はもう1人の後見人等がそのまま本人支援をすることも可能です。この方法だと交替の後見人等を選任する時間も必要なくスムーズに本人支援を継続して行えます。複数後見の場合,後見人等の間で権限を分けて本人の支援をすることも可能です。

 

 2 成年後見制度の利用(任意後見)

本人が未成年の場合,父は親権者(法定代理人)として,本人のために任意後見契約を第三者との間で結んでおき,父が本人の支援ができなくなり本人に支援が必要になれば,上記の第三者が家庭裁判所に任意後見監督人の選任を申し立てて任意後見を開始する方法もあります。しかし,本件では本人がすでに成年になっていますからこの方法は利用できません。

 

3 家族信託と成年後見制度の併用

信託というのは,財産を持っている人が信頼できる人(受託者)に財産名義を移して託し,託したときの目的に従ってその財産の管理処分をするよう任せる仕組みです。信託は,これまで免許を持つ信託銀行や信託会社に限って受託者になることができましたが,最近,法改正により家族・親族などが受託者になる家族信託もできるようになりました。家族信託の場合の受託者は,信託契約で信託報酬の条項を入れれば信託報酬をもらうことができます。

本件の場合,父は自分が元気なうちに自分の財産を自分が信頼できる家族・親族などに名義変更しておき,たとえば,自分が元気なうちは自分に,自分が死んだ後は自分の子に一定の額を渡してもらうよう定め,その子が死んだ後は残った財産をどう処分してほしいか定めることなど,自由に定めることができます。委託を受けた家族・親族などは父が定めた目的に従って託された財産の管理処分をします。

家族信託を利用すれば,財産の管理や財産承継が父の意向に沿って行うことができ,遺言するのと同じことも実現できますので,その有用性が強調されることもあります。

しかし,家族信託でできることは財産の管理なので,管理にかかるお金を使ってどのような生活をするかは別に成年後見制度を併せて利用しないと本人らしい生活の実現には不足することになります。また,受託者に人を得ないと財産の管理自体が危うくなる可能性もあります。

 

以上のような方法が考えられますが,いずれにしても父は本人(子)の状態に応じて,自分が元気なうちに本人支援のためにどのような制度を利用するか将来設計をし,これに基づく制度利用を開始しておくことが必要になるといえます。

  また,このような基本的な制度利用のほか,相談支援センターなどに関わってもらって関係者会議を定期的に開いたり役割分担するなど社会資源と関わる仕組みを考えておくことも本人支援にとって大切なことと考えられます。

 

 

 

 

 

 

※次回の掲載日は、7月31日前後を予定しております。

法律関係でお困りでしたら、提携している弁護士をご紹介いたします。

お困りの際には、まず木村泰文税理士事務所へご連絡くださいませ。

 

〒540-0003
大阪市中央区森ノ宮中央2丁目12番16号キムラ経営ビル
TEL:06-6910-8788 FAX:06-6910-8577
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