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提携士業情報(成年後見制度56)
2021.09.01 更新

現在、木村泰文税理士事務所では、提携している各士業の先生方を少しでも知って頂くため、先生方からお役に立つ情報を提供して頂き、発信しています。

今回は第56回目として、弁護士の先生から頂いた情報で、「成年後見制度」についてです。

 

 

 

 

Q&A成年後見

 

【質問】 

 

Xさんは90歳代男性。Xさんは妻Aさんと共に暮らしており,Aさんとの間に子どもはいません。Xさんには前妻(故人)Bさんがあり,Bさんとの間に長男Cさんがいます。Xさんは脳梗塞を発症して⼊院していますが,その後遺症により判断能力の低下が著しく,後見についての診断書は後⾒相当となっています。⼊院費の⽀払いはAさんが⾏っています。

しかし,Aさんにも認知症があり,今後も自分たち夫婦の財産管理を続けていけるか不安があります。Aさんは自分の生活に不安があるため,Aさんの姪夫婦に相談をして介護保険を利用して訪問介護ヘルパーに来てもらうようにしています。最近になり,Xさん名義の預金がAさん名義に変更されていることが分かり,Cさんは,判断能⼒の低下がみられるAさんが姪夫婦や訪問介護ヘルパーに⾔われるままにXさんの財産を取っていってしまうのではないかと心配しています。

Cさんの申立てによりXさんのために後見人が選任されました。後見人は,Xさんの財産管理や身上面の支援、親族間の対立などについてどう考えればいいでしょうか。

 

 

【回答】

 

 1 後見人は,就任後1か月以内にXさんの財産を調べて財産⽬録を作る必要があります。Xさん名義の預金がAさん名義に変わっていても,それがXさんの意思によらずに変えられたものであれば,財産目録に記載してAさんからXさんへの名義変更を求めることになります。ただ,Xさんに判断能力が十分にあった時期に,Xさんが自らの意思でAさんに贈与する意思で名義変更していたことも考えられますから,名義変更のいきさつを詳しく調べる必要があります。また,Xさんが公正証書遺言を作成していないかを公証人役場に問い合わせて調べる必要があるのではないかと思います。

  後見人は,本人のために選任されていますから,本人を中心に考え,その財産についても本人の立場からの対応を考える必要があります。Cさんが申立人であるからといって,Cさんの立場に立って,Aさんが姪夫婦などに言われるままになってXさんの預金を取り込もうとしているのではないかと考えてAさんや姪夫婦を追及すると,Xさんの支援に支障が生じる結果にもなりかねません。あくまでも本人中心に預金の名義が変更になったいきさつを客観的に調べ,変更に合理的理由があればそれを受け入れることも必要になります。

 2 また,XさんとAさんの財産関係において,Aさんがほとんど財産を持っていないことも考えられます。そのような状況であれば,夫婦は協力扶助の義務がありますから,Xさんに財産があれば,後見人はAさんに協力扶助義務の実行としてXさんの財産からAさんに生活費を渡すことも検討しなければなりません。

 3 Xさんは,現在は脳梗塞の後遺症の治療とリハビリのために入院していると思われますが,病院は病気の治療をする場です。人が日々暮らしていく場とはいえません。認知症などによって判断能力が低下していても,あるいは日常生活で介護が必要になっていても,入院して治療する必要がなければ,退院して日々の暮らしの場に移って暮らすことが必要になります。日々の暮らしの場は自宅,施設が考えられ、施設としてはグループホーム,有料老人ホーム,特別養護老人ホームなどがあります。Xさんにどこで暮らしたいかを聞きながら,Xさんの心身や資産の状況も考え合わせてXさんの希望に添う日々の暮らしの場はどこかを探していくことになります。認知症であるからといって施設で暮らさなければならないということはなく,一定の見守りや介護が確保できるなら,在宅で暮らすことも現在の介護のシステムの中では可能です。あくまでもXさんがどのような暮らしをしたいと望むのか,それを踏まえてXさんの希望の実現可能性を追求していくことが必要と考えられます。

 4 なお,Aさんにも認知症があり,財産管理に不安があるということです。Aさんにも後見制度の利用が必要であると考えられる場合,申立人に誰がなれるでしょうか。

   後見等の申立人になる人は,本人,4親等内の親族がなることができますから,Aさんに判断能力がいくらか保たれており後見制度の意味をある程度理解できる場合はAさん自らが申立てできます。Aさんの姪も申立人になれます。また,姪の夫やCさんはAさんにとっては姻族になり,3親等内の姻族は親族になるとされていますから,実はこれらの人もAさんについて後見等の申立てをすることができます。

   XさんもAさんについての後見等の申立てをすることができます。しかし,Xさんは後見相当で判断能力も相当低下していると考えられますので,自らがAさんの後見等の申立をすることは難しいと考えられます。

では,Xさんの後見人は,Xさんの法定代理人としてAさんの後見の申立てをすることができるでしょうか。後見人等の職務内容は,本人であるXさんの財産の管理や身上面の支援をすることであり,これを越えてXさんの妻の後見申し立てをすることまでは権限の範囲に含まれていないと考えられます。XさんがAさんについての後見等申立てができるからといって,後見人がそれも代理してできるかというと,後見人等の権限には職務内容からくる限界が存在するということです。従って,Xさんの後見人は,Xさんを代理してAさんについての後見等の申立てをすることはできないと考えられます。

 

 

 

 

 

 

※次回の掲載日は、9月30日前後を予定しております。

法律関係でお困りでしたら、提携している弁護士をご紹介いたします。

お困りの際には、まず木村泰文税理士事務所へご連絡くださいませ。

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