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提携士業情報(成年後見制度61)
2022.03.31 更新

現在、木村泰文税理士事務所では、提携している各士業の先生方を少しでも知って頂くため、先生方からお役に立つ情報を提供して頂き、発信しています。

今回は第61回目として、弁護士の先生から頂いた情報で、「成年後見制度」についてです。

 

 

 

 

Q&A成年後見

 

【質問】 

本人は85歳女性。子どもは長男,次男と長女の3人がいます。要介護3で介護付き有料老人ホームに最近入所しました。

本人の家の近くに住んでいる長女が20年以上にわたり本人の面倒をみてきましたが,本人の1人暮らしが難しくなってきたので,本人,ケアマネジャー,長女が話し合って家の近くにある有料老人ホームに入所することになりました。

しかし,本人は施設での暮らしが嫌だと毎日のように長男に電話して施設や長女への不満を言うようになりました。長男は,長女が嫌がる本人を施設に入れたと長女に対して苦情を言い,本人を施設から連れ出し長男の家の近くの施設に入所させました。

長女は,長男が本人の財産を取り込もうとしていると疑い,保佐開始の申立てをしました。選任された保佐人はどうすればいいでしょうか。

 

 

【回答】

家族であるといっても常に親密な関係にあるとは限らず,折り合いがよい家族もあれば,疎遠な家族,対立し合う家族など様々です。本件のように親の介護をめぐって関係が悪化し,互いに疑心暗鬼になることもまれではありません。本人が亡くなったときのことを考えて遺産分割を有利に進めるために後見制度を利用することもないではありません。

家族間に対立がある場合,家庭裁判所は家族,親族を後見人等に選任せず,多くの場合は第三者(弁護士,社会福祉士,司法書士など)を後見人等に選任します。

選任された第三者後見人等に対し,長女は長男が不適切な財産管理を行っていないかよく調べてほしいと言い,長男は本人を長女から守ってほしいと言うでしょう。また,本人に会って話をすると,本人は長女のことを強く非難するかも知れません。日によっては長女を激しく責め,また,日によっては逆に,これまでよくしてくれた長女にひどいことを言ってしまったと後悔の念を口にするなど本人の気持ちが定まらないかも知れません。

選任された第三者の保佐人が,本人,長女,長男のそれぞれの言い分を聞きながら対応しようとすると,あちら立てればこちら立たずとなって結局何をしようとしているのか,何をすればいいのか分からなくなってしまうかも知れません。

後見人等は,本人の財産の管理,身上面の支援をして本人支援をしますが,その目指すところは,本人が尊重され,自分らしく生きることができるようにすることです。本人の家族の考えが色々あるとしても,後見人等が中心に考えるのは本人です。家族の思い,価値観を優先して考えると,本人の思いを制限することになる可能性もあります。

周りの人からすると,本人の考えは不合理で賢明でないと考えられることがあるかも知れませんが,本人が本人らしく生きるために大切なことは,本人の思い,価値観を大切にした支援をすることです。完璧な支援を目指すよりも,多少のしくじりがあるとしても,本人がこれまでの人生でどのように考え,何を大切にして生きてきたか,本人の思いに沿ってこれを尊重した支援をすることが大切といえます。成年後見等が開始したとしても,その瞬間から本人は聖人君子のような完璧な暮らしをしなければならなくなるわけではありません。これまで生きてきたのと同じように失敗やしくじりもしながら普通の人間として暮らし続ける,そのことが本人らしく生きるということと考えられます。

後見人等が本人のためにはこうしてあげるのがいいと考えたとしても,それが後見人等の価値観に基づくもので本人が求める思いと違うのであれば,後見人等も自分の価値観に基づいた支援をするのではなく,本人の思い,価値観を尊重した支援をすることが必要になります。

本人の思いを聞くといっても,本人の思いはほんのかすかな表現である場合もあるでしょうし,話の内容が前後で食い違う場合もあり得ます。しかし,そうだからといって,家族や後見人等が,本人には意思表明できる力がないとして,後見人等の価値観に従い,本人にとって最もよいと考えることを本人に代わって決定してしまうと,それは本人の思いに沿った支援とはいえず,後見制度の基本理念である本人の自己決定の尊重,本人意思の尊重に反することになります。

本事例の保佐人としては,家族の意見があるとしても,それに影響されることなく,かすかな表現であっても,本人中心に本人の思いはどのようなことかによく耳を傾け,本人の真意は何かを見出し,本人が声を大きく出せるようにし,それに沿った支援をすることが望ましいといえます。周囲の人からみてそのような支援は本人にとって完璧な支援でないと思われるとしても,本人が本人らしく生きるということはそういうことだとして支援していくしかないといえます(ただし,本人の思いに従った支援をすると,それにより本人に回復できないような重大な損害が発生する場合は,支援の限界ともいえますので,このような場合まで本人の思いに沿った支援をすることはできないと考えられます。)。

 

 

 

 

 

 

 

※次回の掲載日は、4月30日前後を予定しております。

法律関係でお困りでしたら、提携している弁護士をご紹介いたします。

お困りの際には、まず木村泰文税理士事務所へご連絡くださいませ。

 

〒540-0003
大阪市中央区森ノ宮中央2丁目12番16号キムラ経営ビル
TEL:06-6910-8788 FAX:06-6910-8577
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