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提携士業情報(成年後見制度63)
2022.05.31 更新

現在、木村泰文税理士事務所では、提携している各士業の先生方を少しでも知って頂くため、先生方からお役に立つ情報を提供して頂き、発信しています。

今回は第63回目として、弁護士の先生から頂いた情報で、「成年後見制度」についてです。

 

 

 

 

Q&A成年後見

 

【質問】

本人は90歳の女性で長女,次女の2人の子どもがいます。本人には脳梗塞の後遺症があり介護保険上は要介護3と判定されています。本人は自宅で夫の介助も受けながら暮らしていましたが夫が最近亡くなりました。夫の遺産分割が必要になりましたが,本人は認知症が進行しています。

本人について長女が成年後見の申立を行い,弁護士が後見人に選任されました。遺産分割協議は後見人が本人を代理して長女,次女との間で行われ,家庭裁判所の調停手続を経て協議が成立しました。

遺産分割協議手続が終わった後,長女は後見人に対し,母親はこれまでも自分に対して生活費を出してくれていたから毎月20万円を払ってほしいと言っています。長女は,自分が後見申立をして後見人が選任されたのだから,後見人には自分の味方として言うことを聞いてもらいたいと思っているようです。

どう考えればいいでしょうか。

 

【回答】

 相続人の中に,認知症となって判断能力が乏しくなっている人がいる場合,その人に成年後見人が選任され,遺産分割協議をすることは成年後見制度の利用場面の1つです。

成年後見人の仕事は遺産分割協議が成立すればそれで終わりになるのではなく,その後も引き続いて本人の意思に基づき,本人のために財産管理,身上保護の職務を果たします。本人が自宅で生活することが難しくなると,本人と話をしながら施設入所の検討もします。

本人に親族がいる場合,後見人は親族との関わりも生じることになります。本件で長女は,自分は母親にこれまで生活費を出してもらって生活してきたのだから,後見人に言えばこれまでどおりお金を出してもらえると思っているようです。しかし,後見人の職務は,本人の財産を本人のために管理することですから,本人以外の長女に根拠なくお金を渡すことは職務に反することになります。

ただし,民法では直系血族の間では扶養する義務があるとされています。本人と長女は直系血族ですから,長女から扶養義務を実行してほしいと言われていると考えれば,義務を果たすことが後見人の職務になるかどうかの検討をする必要があります。

本件では,長女が未成年の子どもであればほとんど無条件に扶養が必要な状態と考えられますが,長女はおそらく未成年ではありませんから,長女が扶養の必要な状態にあるかが検討される必要があります。長女が扶養の必要な状態にあると判断されるならば,扶養義務の実行の問題が生じます。長女は今回,父の遺産分割で相当の財産を得ているはずですから,まずは自分の財産で生活すべきで,それが底をついて生活できなくなった場合に扶養義務の問題を検討することになるのではないでしょうか。

扶養義務を果たすことになっても,本人自身の生活の問題もあります。後見人は本人のために職務を果たしますから,本人の生活ができなくなるまで長女にお金を渡すことは後見人の職務を果たしていないことになります。

後見人としては,たとえ長女の生活が逼迫していて扶養が必要な状態にあるとしても,本人の生活に余裕がある限度で長女を扶養すべきで,それを超える場合には扶養をすることはできないと考えられます。長女の生活維持は生活保護により行われるよう長女に説明することになると考えられます。

 

 

 

 

 

 

※次回の掲載日は、6月30日前後を予定しております。

法律関係でお困りでしたら、提携している弁護士をご紹介いたします。

お困りの際には、まず木村泰文税理士事務所へご連絡くださいませ。

 

〒540-0003
大阪市中央区森ノ宮中央2丁目12番16号キムラ経営ビル
TEL:06-6910-8788 FAX:06-6910-8577
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