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提携士業情報(成年後見制度64)
2022.06.30 更新

現在、木村泰文税理士事務所では、提携している各士業の先生方を少しでも知って頂くため、先生方からお役に立つ情報を提供して頂き、発信しています。

今回は第64回目として、弁護士の先生から頂いた情報で、「成年後見制度」についてです。

 

 

 

Q&A成年後見

 

 

【質問】

本人は80 代女性。認知症が進行し要介護4でコミュニケーションはほとんどできません。本人には長男と次男がいます。

夫はすでに死亡しており,夫の遺産を数千万円相続しています。本人の財産の管理を行う必要があるため,長男が自分を後見人候補者とする後見開始の申立てをしました。

家庭裁判所はどのように判断するでしょうか。

 

 

【回答】

  • 成年後見制度において,後見人は本人の財産を管理する権限を持っています。事務処理をするには家庭裁判所の監督に服するとなっていますが,預金を引き出すのに一々家庭裁判所の許可を得なくても引き出すことができ,銀行等もその引き出しの適否をチェックすることはありません。多くの後見人はまじめに職務をこなしていますが,中には心得違いをする後見人もおり,権限を濫用して本人財産の不正利用をする人がいます。不正利用は平成26年度内に発覚したものが最も多かったですが,831件,約56億7000万円の被害がありました(この中には弁護士,社会福祉士,司法書士の専門職による不正もあり,22件,約5億6000万円ありました)。最近の被害発覚額は8億円弱にまで下がっています。

 

  • このような不正利用を防止する観点から,最高裁判所は平成24年,「後見制度支援信託」という制度を作り,信託銀行を通じて本人の財産を守ろうとしました。 しかし,信託銀行は数も少なく,全国の店舗数も限られており,また,本人がこれまで取引のない信託銀行にお金を預け替えることに抵抗感もあると考えられましたので,平成30年からは,銀行などでも不正防止対応が可能になるように「後見制度支援預貯金」という制度も作られました。現在はこの2つの制度が導入されています。

 

  • 「後見制度支援信託」と「後見制度支援預貯金」の仕組みの細かい部分は違いますが,基本的な仕組みは同じですので,基本部分を説明します。 どちらも後見について(保佐,補助には適用されません),家庭裁判所が発行する「指示書」に基づき,後見人が信託銀行あるいは銀行,信用金庫,信用組合,農業協同組合などの金融機関と後見制度支援信託あるいは後見制度支援預貯金の契約を結びます。まとまった大きなお金は金融機関に預けられて固定され,本人の日常生活に必要なお金が本人名義の口座に毎月定期的に入金されます。もし,一時金が必要になれば,家庭裁判所から「指示書」を発行してもらい,金融機関に示して後見人口座に入金してもらいます。「指示書」がなければ金融機関はお金を出してくれません。これによって不正を防止しようとするものです。令和3年3月末で全国の金融機関の64.9%がこの制度の取扱をしています。今後も増える予定です。この制度に基づいて金融機関に預けられている財産は,令和2年度に全国で合計約3万件,約1兆140億円あります。

 

  • 後見制度支援信託,後見制度支援預貯金の制度が全ての後見事案に適用されるかというと,後見事務に専門的な知識が必要であったり,親族間で争いがあるような事案の場合は,弁護士,社会福祉士,司法書士などの専門職が後見人に選任され,この制度は利用されません。また,資産が不動産や株式など預貯金の形にできない財産が多い場合や本人の病状などによって毎月のお金の収支計画が立てられない場合もこの制度は利用できません。本人の財産が少ない場合も利用されません。利用される境界線は,一般には預貯金1000万円以上の場合に利用されるというのが目安となります。各家庭裁判所で異なりますので,詳しくは問い合わせることが必要です(大阪家庭裁判所では現在は1200万円以上という基準と思われます)。

 

  • 質問の事例では,本人の財産が1000万円以上ありますから,家庭裁判所は後見制度支援信託あるいは後見制度支援預貯金の利用を後見人に検討させます。後見人候補者の長男がこれを受け入れて手続をするのであれば長男を後見人に選任し,金融機関と契約させることになりますが,長男ではうまく手続を進められるか分からなければ,まずは弁護士を後見人に選任し,金融機関と契約を結び,手続が終わった後に長男を後見人に選任し,弁護士はその後に辞任するという引継ぎ型の後見人選任が行われることもあります。後見制度支援信託,後見制度支援預貯金の仕組みを利用すると,本人は毎月の生活費相当分を金融機関から支払いを受けて生活し(お金を管理するのは後見人),一時金が必要になれば家庭裁判所の指示書により支払いが行われ,それ以外の場合には引き出しが行われないことになります。

 

 

 

 

 

 

※次回の掲載日は、7月31日前後を予定しております。

法律関係でお困りでしたら、提携している弁護士をご紹介いたします。

お困りの際には、まず木村泰文税理士事務所へご連絡くださいませ。

 

〒540-0003
大阪市中央区森ノ宮中央2丁目12番16号キムラ経営ビル
TEL:06-6910-8788 FAX:06-6910-8577
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