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提携士業情報(成年後見制度65)
2022.07.29 更新

現在、木村泰文税理士事務所では、提携している各士業の先生方を少しでも知って頂くため、先生方からお役に立つ情報を提供して頂き、発信しています。

今回は第65回目として、弁護士の先生から頂いた情報で、「成年後見制度」についてです。

 

 

 

 

Q&A成年後見

 

【質問】

本人は40代男性で中度知的障がいがあり,職を転々としながら生活しています。母はすでに死亡し自宅で70代の父親と暮らしていましたが,父が脳内出血になり後遺症として判断能力が著しく低下し預金の出し入れができにくくなりました。本人は父親の年金が入る預金口座を管理するようになりましたが,自分では医療費の支払いや生活費のやりくりが難しく困っていたところ,ある日防災グッズの訪問販売にやって来た女性から,預金の管理をしてあげると言われ,父親の年金が入る預金口座のキャッシュカードを預けました。女性は,最初のうちは本人にお金を渡してくれていましたがそのうちにお金をくれなくなりました。本人は,お金がなくて困り,知り合いの相談支援事業所の相談支援専門員に相談しました。父の預金通帳からは多額のお金が連日にわたり引き出されていることが後日分かりました。

本人について今後どのような支援をすることが考えられますか。

 

 

【回答】

1 消費者被害は,ありとあらゆる年代,性別を問わず発生しています。それぞれの世代,性別に興味や関心のあることをネタに言葉巧みに人を信じさせ,財産を奪っていきます。世の中にあるあらゆるものがだましの材料になります。商品は財産を奪うための小道具にすぎません。オリンピックが開かれればオリンピックを材料にしたオリンピック関連企業へのにせ投資勧誘話があったり,架空の特別養護老人ホーム入居権を利用した詐欺があったり,税金の還付金詐欺があったりします。コロナウイルス騒ぎすら材料になり,ワクチンを優先的に接種できるからお金を振り込むよう電話があったりもします。最近ではオレオレ詐欺,特殊詐欺という詐欺事件も頻発しています。

人は誰も他人の言うことを信じやすくだまされやすいところがあり,そこを突かれて被害が発生します。知的障がいがある人も,言われるままに信じて被害に遭ってしまうことは他の人と同じです。

本人に関わる人がおらず,本人が誰にも相談できないと被害が潜在化し,財産が多額に取られるまで発覚しないこともあります。2005年5月に埼玉県富士見市で80歳と78歳の高齢の認知症の姉妹が複数業者に4000万円近くのリフォーム工事をされてお金を取られ,おまけに工事代金が支払えないとして自宅が競売にかけられた事件があります。

2 本件では,本人は,自宅にやって来た訪問販売員の女性に,自分ではうまく処理できないと困っていた金銭の管理をしてあげると言われ,これを信じてキャッシュカードを預けてしまっています。これは消費者被害事件と被害の構造は基本的に同じです。

本人が,普段から関わりのある相談支援事業所の相談支援専門員(障がい者向けのケアマネジャーのような存在)に相談したために事件が発覚しました。

  この事実を知った相談支援専門員は,本人と父親にどのような支援を行えば被害の拡大を防ぎ,父と子の今後の生活が安全で安心したものになるかを考えます。相談支援専門員1人で考えるよりも関係する基幹相談支援センターや市町村と連携して対応を協議することがよりよい支援につながると考えられます。

3 考えられる対応方法は,まず父の銀行預金口座を凍結してこれ以上お金を引き出されないようにすることです。父が口座名義人ですが,判断能力を失っているのであれば,子どもから銀行に父が判断能力を失っていると連絡すれば銀行は預金口座を凍結してくれる可能性があります。

父親の判断能力がないのであれば成年後見の申立てをすることが考えられます。子どもに一定の判断能力があれば,子ども(本事例の本人)による申立ても可能ですが,子どもが申立てすることが難しければ市町村長が後見申立をすることができます。市町村長申立の手続は相談支援専門員や市役所の職員が関わって準備することになります。

子ども(本事例の本人)についても後見制度の利用(保佐あるいは補助)が考えられます。申立てに当たっては,本人にも申立権がありますから,本人申立にするか市町村長申立にするか検討することになります。保佐,補助については代理権付与,同意権・取消権付与などについて本人の同意が必要なものがありますので,本人が同意しないと補助が開始しなかったり,代理権等が付与されなかったりします。申立ての手続は,具体的には相談支援専門員や市役所の職員が関わって行うことになると考えられます。父のための後見人,本人のための保佐人あるいは補助人は,父親と本人について別々の人が選任される場合もあれば,同じ人が選任される場合もあります。

このような手続をした後,父のために選任された後見人が銀行に成年後見届出をして預金取引を継続します。後見人が父の年金の管理を行い,医療費や生活費等を支払って金銭面の管理を安定させ,父の今後の暮らしを後見人,ケアマネジャー,医療関係者などが父も入れて話し合いをしていくことになります。

本人についても,保佐人あるいは補助人が選任されれば,保佐人あるいは補助人は本人と話をして生活の安定を図る努力をします。本人は仕事の収入があるのか,本人自身の年金はあるのか,父の年金で2人が暮らすことができるのかなどを検討し,生活資金として十分な収入がないということであれば,生活保護申請をすることも検討します。父と同居するのであれば,父と本人の収入を合わせても生活保護基準に達しないかどうかが検討され,父と別世帯で暮らすのであれば,生活保護は本人についてのみ検討されます。どのような暮らしをするか本人と保佐人あるいは補助人が話し合って決めます。

 訪問販売員の女性に取られてしまったお金は,通常は簡単には取り戻せないとの覚悟が必要になります。女性の行為は詐欺あるいは横領に該当しますので,刑事告訴して警察に捜査してもらうことが考えられます。このような取組を通していくらかでも返金されればよしとせざるを得ないかも知れません。

 

 

 

 

 

 

 

 

※次回の掲載日は、8月31日前後を予定しております。

法律関係でお困りでしたら、提携している弁護士をご紹介いたします。

お困りの際には、まず木村泰文税理士事務所へご連絡くださいませ。

 

〒540-0003
大阪市中央区森ノ宮中央2丁目12番16号キムラ経営ビル
TEL:06-6910-8788 FAX:06-6910-8577
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