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提携士業情報(成年後見制度68)
2022.10.31 更新

現在、木村泰文税理士事務所では、提携している各士業の先生方を少しでも知って頂くため、先生方からお役に立つ情報を提供して頂き、発信しています。

今回は第68回目として、弁護士の先生から頂いた情報で、「成年後見制度」についてです。

 

 

 

 

 

Q&A成年後見

 

 

【質問】

  80歳の女性。数年前に夫を亡くしその後は独居生活をしています。体は元気ですが認知症の症状が出るようになっています。子どもは長女と次女がいますが,2人とも結婚して長女は遠方で暮らし,次女は本人の近所で暮らしています。本人は普通預金の残高が減ってきたので,定期預金を解約して普通預金に移そうとしたところ,銀行の窓口で住所,生年月日,お金の使い道を聞かれましたがうまく答えることができませんでした。行員は,本人確認,本人の能力確認ができないので解約に応じられないと言いました。どうすればいいでしょうか。

 

 

【回答】

1 預金は本人の財産なので,銀行は,預金の引き出しに来た人が預金者本人かどうか,また,お金を引き出すことについて判断能力があるかを確認します。

家族といえども代理権がなければ銀行は本人の預金の払い戻しに応じませんし,判断能力があるかどうか疑わしい人が預金を引き出しに来た場合も銀行はその人のお金ですが預金の払い戻しに応じてくれません。それが銀行実務のようですが,今回の件は,本人が銀行員からいきなり住所や生年月日やお金の使い道を聞かれ,緊張して答えられなかったかも知れず,落ち着いて安心して答えられるように丁寧に聞いてあげれば答えられたかも知れません。質問に答えられないからといって直ちに判断能力がないと決めつけることは避けなければなりません。

しかし,本人の判断能力がなくなり,どのように聞いても銀行員の質問に答えられなければ,預金の払い戻しは法的な代理権のある後見人がしなければならなくなります。判断能力が低下して保佐人や補助人がついている場合は,本人が払戻請求できますが,保佐人や補助人の同意が必要になります。

 

2 日々の暮らしには医療費,施設入居費,生活費等の支払が欠かせません。預金が少なくなり,投資信託等を解約して生活資金を作ることが必要になることもあります。

必要な支払をすべきときに判断能力に疑いがあるとの理由で成年後見制度の利用を求められても,判断能力を失った人全てに後見人がついているわけではありません。原則論だけで考えると,お金はあるのに手に入らなくて生活に著しい影響が出るという不合理なことが起きてしまいます。

 

3 全国銀行協会は,令和3年2月18日,「金融取引の代理等に関する考え方および銀行と地方公共団体・社会福祉関係機関等との連携強化に関する考え方(公表版)」を公表し,以下のとおり,原則論一辺倒の考えを少し柔軟に取扱うことを示しました。

① 本人の認知判断能力が低下している場合は,家族に成年後見制度の利用を促すが,その手続が完了するまでの間など,やむを得ず本人との金融取引を行う場合は,本人のための費用の支払いであることを確認するなどしたうえで対応する。

② 本人が有効に家族に代理権を与え,銀行にその届出をしている場合は,代理人と取引を行う。

③ 家族等が本人から代理権を与えられずに取引をする場合は,本人の認知判断能力が低下し,かつ成年後見制度を利用していない極めて限定的な場合に認める。本人が認知判断能力を失っていることは本人との面談,診断書の提出,担当医からのヒアリングなどにより確認する。払い戻すお金は,医療費等の本人が認知判断能力を失っていなければ支払っていたであろうと考えられるものなど,本人の利益に適合することが明らかなものに限る。

④ 本人が投資信託等の金融商品しかまとまった資産しか持っていない場合に,医療費や施設入所費,生活費等の費用を作るために家族等から本人の投資信託等の金融商品の解約等の依頼があった場合も,基本的に上記の預金の払い出しと同じ考え方に基づく対応がされる。

 

4 判断能力が低下した人が銀行からお金を引き出すには,これまでの原則に従った対応から少し柔軟な取扱になる可能性があり,本人にとってお金が全く動かせないことによる不都合が多少解消されることになりそうです。

 ただし,これはあくまでも緊急事態での一時的取扱と理解すべきで,この公表された考えにも示されているように,原則に従い,成年後見制度の利用を早期に行う必要があります。

なお,この公表意見では,家族が代理権を持っている場合は家族からの払い戻しに応じるとされていますが,家族が権限を濫用して本人の財産を不正利用しても本人が適切にチェックできない可能性もありますから,慎重な取扱がされる必要があります。

 

 

 

 

 

 

 

 

※次回の掲載日は、11月30日前後を予定しております。

法律関係でお困りでしたら、提携している弁護士をご紹介いたします。

お困りの際には、まず木村泰文税理士事務所へご連絡くださいませ。

 

〒540-0003
大阪市中央区森ノ宮中央2丁目12番16号キムラ経営ビル
TEL:06-6910-8788 FAX:06-6910-8577
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