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提携士業情報(成年後見制度73)
2023.06.30 更新

現在、木村泰文税理士事務所では、提携している各士業の先生方を少しでも知って頂くため、先生方からお役に立つ情報を提供して頂き、発信しています。

今回は第73回目として、弁護士の先生から頂いた情報で、「成年後見制度」についてです。

 

 

 

 

Q&A成年後見

 

 

【質問】

60代の1人暮らしの男性が交通事故に遭い,重い後遺症が残りました。こちらから話す言葉は理解できている可能性があり,話すことにうなずいていますが,自分から話そうとすると言葉が出ないようで「あー,あー」と言うだけです。親族は市内に甥が1人いるだけで他に親族はいません。本人が入院費の支払や転院してリハビリを受ける手続などを自分でできないため,病院は困って甥に支払や手続をしてもらいたいと言って来ています。甥は派遣社員で収入はほとんどなく日程も自由にはなりません。成年後見申立をするにもお金がありません。

どうすればいいでしょうか。

 

 

【回答】

1 本人について行う必要がある手続は,現在の入院先病院への医療費支払い,リハビリを受けるための転院手続(転院先病院との入院契約),転院先病院への医療費支払い,交通事故の損害賠償請求手続などが考えられます。ほかにも収入関係として年金の確認や損害賠償のお金を受け取るまでの間,生活資金が足りない場合に生活保護の申請をするなどの手続も考えられます。

 

2 本人の現在の状況ではこれらの手続を自分ですることはできないようですし,市内に住む甥は本人のためにこれらの手続をする余裕はないようです。

これらの手続ができないままだと病院も今後の治療方針も決められませんし,何よりも本人の生活が不安定になります。このような場面で本人が医療手続や損害賠償請求手続,生活費の確保などを円滑に行う方法としては成年後見制度を利用することが考えられます。

 

3 成年後見制度は,「精神上の障害により事理を弁識する能力」が不十な人について利用が開始されます。本人の能力がどのような状態かをまず考える必要があります。本人の事理弁識能力(自分の行為の意味や内容,当否,損得を判断できる能力)がどのようなものかは医師が診断します。家庭裁判所は医師の診断書に基づいて判断しますが,必要であれば鑑定も行われます。審査の結果,事理弁識能力が常にない場合は「後見」,著しく不十分である場合は「保佐」,不十分である場合は「補助」という審判がされます。

 

4 成年後見申立てができる人は,本人,4親等内の親族などです。本件では,本人が申し立てるのは難しいですし,親族である甥にも期待は難しいです。家庭裁判所は,誰かが通告すれば調査して職権で後見開始を決定してもくれないので,誰も申立てをしなければ本人の後見制度利用は始まりません。このような場合に対応するものとして,市町村長が申し立てる制度が用意されています。

市町村長申立てをするには,市町村の担当課に直接相談に行くこともできますが,通常は地域で相談に当たっている地域包括支援センター(高齢者)や相談支援事業所(障がい者)が相談に応じています。

 

5 成年後見審判の申立てをするには費用が必要になります。

  成年後見申立ての費用は,申立手数料800円~2400円,後見登記手数料2600円,郵便切手などの費用3270円~4210円が必要で,鑑定が必要となった場合の費用は5~10万円程度が必要になります。ほかに医師の診断書作成費用,住民票,戸籍謄本,後見が登記されていないことの証明書の発行手数料なども必要になります。これらは合計で15,000円以内程度の費用になると思われます。弁護士に申立てを依頼すると別に15~20万円がさらに必要になると考えられます。

 

6 家庭裁判所に後見審判申立てをする場合,後見制度は本人のための制度なので申立費用は本人負担ではないかと考えられますが,以前は,申立費用は申立人負担と定められていました。本人が費用負担しなくてよいことになるのでこのことには批判がありました。現在は家事事件手続法で,申立費用(家庭裁判所に申立をする手続に必要な費用のことです。弁護士への依頼費用などは含まれません)を本人に負担させる裁判をすることができることになっています。

本人に費用を負担させる裁判ができるとしてもそれは後に判断されることですし,申立ての際に本人にお金がなければ,申立人が申立費用を支出できなければ申立てにつながりません。申立人がお金の用意ができない場合は,法テラスの民事法律扶助制度を利用して費用の立て替えをしてもらうことができます。立て替えてもらったお金は後に分割して返す必要がありますが,資力の少ない人には返還免除の制度も用意されています。

市町村長が申立てをした場合,家庭裁判所が申立費用は本人に負担させると裁判すると,後に市町村は後見人等に申立費用を支払うよう請求してきます。

 

 

 

 

 

 

 

※次回の掲載日は、7月31日前後を予定しております。

法律関係でお困りでしたら、提携している弁護士をご紹介いたします。

お困りの際には、まず木村泰文税理士事務所へご連絡くださいませ。

 

 

〒540-0003
大阪市中央区森ノ宮中央2丁目12番16号キムラ経営ビル
TEL:06-6910-8788 FAX:06-6910-8577
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