現在、木村泰文税理士事務所では、提携している各士業の先生方を少しでも知って頂くため、先生方からお役に立つ情報を提供して頂き、発信しています。
今回は第74回目として、弁護士の先生から頂いた情報で、「成年後見制度」についてです。
Q&A成年後見
【質問】
本人は75歳の女性で,借家で1人暮らしをしています。家族はいないようです。本人は認知症がひどくなり頻繁に徘徊するようになり,近所の人が見つけて家に連れ戻していました。通院先の医師は1人暮らしは難しいと言っています。
近所の人から相談を受けた地域包括支援センターの担当者が本人に面会に行き話をしたところ,遠方に姪が1人いるが普段連絡を取り合っていないことや忘れっぽくなってきたので今後の生活に不安を感じていることなどが分かりました。本人に1人暮らしを続けるか聞いたところ,施設で暮らす方が見てくれる人もいるので安心と言ってました。
本人の収入は国民年金だけで預貯金はほとんどありません。生活費の管理もできなくなってきており,後見制度の利用を考えることが必要になってきているようですが,後見人に誰がなってくれるのか,後見人の報酬はいくらで誰が払うことになるのかよく分かりません。
どう考えればいいでしょうか。
【回答】
1 本人は自分でも1人暮らしは難しくなってきていると感じてきており,施設で暮らすことを望んでいるようです。その場合,借家の明渡,移転する施設への入所契約,自分の財産管理などしなければならないことがあり,本人がすることが難しければ後⾒⼈等を選任してもらい,後見人等と本人が話をしながらこれらの事務をしていくことが考えられます。
後見等の申立ては,本人が申立てできれば本人申立て,本人申立てが難しければ市町村長申立てになると考えられます。
2 後見人等に誰を選任するかは家庭裁判所が決めます。申立時に候補者推薦がされていればその人も考えに入れながら選任されます。推薦された人が後見人等に選任されるとは限りません。今回の本人には姪がいますが,後見人等になってもらえることは難しく,選任はされないと思われます。後見人等に選任された人は借家の明渡などを処理していくことになります。
3 後見人等の報酬は,親族後見人は基本的には無報酬ですが,本人のために親族が特に何かを負担していたというのであれば報酬決定がされることもあります。
弁護士,社会福祉士,司法書士などの後見人等には家庭裁判所が本人の資力などを考え,本人の財産の中から相当な額を決定します。報酬額は本人の誕生月を基準に年に1回決定が行われ,1か月2万円弱前後が報酬の標準となります。本人の財産がなければ,無報酬の決定もあり得ます。
報酬を支払うことが困難な本人について,報酬の一部又は全部を市町村が助成する仕組みとして成年後⾒制度利⽤⽀援事業があります。全ての市町村に設けられているわけではないですが,今後増えていくことが期待されます。
※次回の掲載日は、8月31日前後を予定しております。
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