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提携士業情報(成年後見制度87)
2024.11.01 更新

現在、木村泰文税理士事務所では、提携している各士業の先生方を少しでも知って頂くため、先生方からお役に立つ情報を提供して頂き、発信しています。

今回は第87回目として、弁護士の先生から頂いた情報で、「成年後見制度」についてです。

 

 

 

 

Q&A成年後見

 

【質問】

夫(80歳)と妻(80歳)は2人暮らしですが,妻は認知症になって判断能力がかなり低下しており,夫が手配したデイサービスや訪問介護を受けています。夫も妻の介護を行っており,家の財産の管理も夫が一切をしています。夫は最近胃がんと診断され,余命半年と言われています。夫婦の間に子どもはなく,お互いの兄弟姉妹もすでに亡くなって夫や妻の甥,姪との往き来はなくほかに親族は誰もいません。夫は妻のためにできるだけのことをしてあげたいと思っています。

どうすればいいでしょうか。

 

 

【回答】

妻は財産の管理,介護の手配について自分ではできていないので,夫が入院などすると自分のことだけでなく妻の生活も維持できなくなる可能性があります。

夫は残された時間の中で妻との時間をどう過ごしたいか,自分が動けなくなったときの財産の管理,妻のためにできることは何かなどを考えておく必要があります

 

1 夫が入院などにより動けなくなったときのための財産の管理等

夫が動けなくなって財産管理が難しくなったときのために,信頼できる弁護士などとの間で財産管理契約を結んでおけば,動けなくなったときにこれまで夫がしていた財産管理や妻の介護の手配などをその人にしてもらうことができます。

 

2 妻のための成年後見人の選任

夫が妻のために財産管理や介護の手配などができなくなったときのためには,成年後見人の選任をしておくことが考えられます。

成年後見人は夫が亡くなった後に審判申立することもできますが,その場合は誰が成年後見の審判申立をするかという問題が出てきます。夫や妻の甥や姪には申立権がありますが,これまでの関係からすると申立てしてもらえるとは限りません。親族で申立てをしてくれる人がいなければ市町村長による申立てによるほかありません。市町村長申立は,本人の「福祉を図るため特に必要があると認めるとき」に行われますが,申立てをするには調査などに時間がかかります。夫が申立てをすれば市町村長申立よりも短い時間で申立てでき,それだけ早く審判がされて妻のために後見人が選任され,活動が行われることになりますので,夫が元気なうちに妻のために後見申立をしておくのがよいと思われます。

 

3 家族信託と成年後見制度の併用

財産の管理については,成年後見制度の利用だけでなく,信託の利用も考えられます。信託は信頼できる人(受託者)に財産を預け(託し),託した目的に従って財産の管理処分が行われる仕組みです。営業として行うのでなければ一般の人も行うことが認められています(いわゆる「家族信託」)。

本件の場合,夫は自分が元気なうちに自分の財産を自分が信頼できる人に財産を預けておき(不動産であれば名義変更します),たとえば,自分が元気なうちは自分に,自分が亡くなった後は妻に一定の額を渡してもらうよう定め,さらに妻が亡くなった後は残った財産を処分する方法などまで定めておくことができます。委託を受けた人は夫が定めた目的に従って,託された財産の管理処分をします。

家族信託を利用すれば,財産の管理や財産の引継ぎまで夫の考えに沿って行うことができ,遺言するのと同じことも実現できます(ただし,相続人の遺留分を害する形での信託を設定することはできないと理解されています)。

家族信託でできることは財産の管理なので,管理にかかるお金を使ってどのような生活をするかは別に成年後見制度を併せて利用しないと本人らしい生活の実現には十分でないことになります。また,受託者が事務処理を適切にできる人でないと財産の管理自体が危うくなる可能性もありますので,信託をする場合は安心して任せることのできる人を受託者に選ぶ必要があります。

 

4 遺言書の作成

夫が亡くなった場合,妻だけでなく,夫の甥,姪も相続人になります。夫が妻に全財産を相続させたいと考えるのであれば,遺言により,財産の処分方法を決めておくことができます。相続人が被相続人の配偶者,子,両親である場合は,これらの相続人には遺留分があり,遺言があっても相続財産のうち一定の割合の財産を請求することができますが,兄弟姉妹や甥姪には遺留分が認められていないので遺留分の請求をすることはできません。

従って,夫が自分の全財産を妻に相続させる遺言をした場合,夫の甥,姪は遺留分を妻に請求することはできませんので,夫は自分の亡くなった後の財産の処分方法を遺言に定め,遺言執行者を指定して自分の希望に沿った財産処分がされるようにすることができます。

 

5 夫は自分が元気なうちに自分と妻のために必要な制度の利用を準備しておくことができます。

 

 

 

 

 

 

 

 

※次回の掲載日は、11月30日前後を予定しております。

法律関係でお困りでしたら、提携している弁護士をご紹介いたします。

お困りの際には、まず木村泰文税理士事務所へご連絡くださいませ。

 

〒540-0003
大阪市中央区森ノ宮中央2丁目12番16号キムラ経営ビル
TEL:06-6910-8788 FAX:06-6910-8577
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