現在、木村泰文税理士事務所では、提携している各士業の先生方を少しでも知って頂くため、先生方からお役に立つ情報を提供して頂き、発信しています。
今回は第88回目として、弁護士の先生から頂いた情報で、「成年後見制度」についてです。
Q&A成年後見
【質問】
本人(女性,80歳)は認知症になっており,要介護3でデイサービスと訪問介護を利用しています。夫は昨年亡くなり自宅で長男と2人で暮らしています。長男は55歳で軽度知的障がいがあります。本人は遺族年金と障害年金を受けており,長男は障害年金を受けています。
本人は自分の病状の理解ができず財産管理もできないので,他市に住む本人の妹(77歳)が本人の支援に通って来てくれています。長男は判断能力はある程度ありますが財産管理することは難しいです。
本人は1か月前に自宅で転倒して大腿骨骨折し手術後リハビリを受けています。長男は毎日本人に面会に行き,母の治療に対して看護師などに苦情を連日述べています。長男はこれからも母と暮らしたいと言っています。
どうすればいいでしょうか。
【回答】
本人と長男の暮らしは今のところ本人の妹に支援してもらうことで維持できていますが,妹が動けなくなると本人と長男の暮らしは行き詰まる可能性があります。今後のことを考えると本人のために後見人等を選任することが望ましいです。
後見人等の選任申立は妹がすることができます。長男も申立ては可能ですが,長男の場合は判断能力の程度によると考えられます。
後見人等が選任されると後見人等が本人のために財産管理,日々の生活の手配などをします。本人と長男が同じ家で暮らしていますので,生活費の負担をどのようにするかを長男と話し合う必要があります。これまでの暮らしで長男が生活費を負担してきていたか,長男の年金を父が管理していたか長男自身が管理していたかによっては長男がどう回答するか不確定なところがあります。これまでの生活状況も考えながら生活費の負担を話し合うことになると考えられます。
長男は母の治療について連日苦情を述べたり,これからも母と暮らしたいと述べていますが,母に愛着があり母から離れられないタイプの人であるかも知れません。後見人等としては,長男と母との依存関係にも注意しながら長男との関係を築き,本人の支援を考えていくことが必要になると考えられます。長男は本人の支援に欠くことができない存在であるといえますが,長男の性格,判断能力によっては本人の支援にとって支障となる可能性もあります。このような点を考えながらできる限り長男との良好な関係を形成していくことになります。
※次回の掲載日は、12月31日前後を予定しております。
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